本研究の主要な目的は, リファレンス・グループ理論の一般的な命題が, 政治的・社会的態度におけると同じように, 宗教的態度に関しても有効であろうかという問題に答えることであった。被験者には, 福岡女学院中学校の女生徒が選ばれた。 明らかにされた結果は次のとおりである。 1. 個人の宗教的態度は, その個人の第1リファレンス・グループの規範によって影響をうけ, その規範に一致する傾向を示すこと。 2. 相支持しあう多元的なリファレンス・グループをもつ個人の宗教的態度は, その規範の方向に強化されること, 但し第1リファレンス・グループの規範がキリスト教化に否定的な場合は, 相支持しあう群よりも, 相矛盾しあう群の方が強化が大であったことは, 予想を裏切るものであった。 3. 第1リファレンス・グループのキリスト教化の規範と同じ方向に, 個人の宗教的態度を変化させようとする力がはたらくという仮説は支持された。