以上はいわゆる非行少年とよばれる者のうちのごく一部 (比較的年少でしたがって非行性もまだ弱い者, 環境不良で施設に収容保護されている者) についての資料であり, しかも施行後相当の日時を経過し, 図版や施行, 採点の技術, 結果の統計的処理についても検討の余地が多く残されているように思われる。目下矯正施設収容者を対象として原版 (スイス版) により追試中 (2, 5) である。 なお筆者がさきに蒐集した諸調査者による20の資料について犯罪者, 非行者における大略の反応傾向をまとめた結果を第2表に, 参考までに掲げておく (4)。 これを要約すると次のようになる。 ○非行少年に多い項目: 動物反応, 超外拡的体験型及び両貧的体験型。 ○非行少年に少い項目: 反応数, 細部分反応, 人間運動反応, 形体色彩反応。 FB2を除き大体の反応傾向は本資料の結果と一致している。 しかしこのように, 各項目について反応数や頻度を比較するいわゆるsign approachにはおのずと限度があり, むしろmotivational dynamismを問題とすべきだとする意見もあり (6), 方法論については, さらに検討の余地が残されている。