本研究は, PM式指導条件が, 知覚-運動学習におけるパフォーマンスとレミニッセンスに及ぼす効果を吟味することを目的としたものである。とくに本研究においては, 休止前試行数を異にする集中学習条件下において上述の実験的検討をおこないHull (1943) -Kimble (1949 a) らの提起する制止理論について批判検討をおこなわんとしたものである。 課題は逆ひらがな書記課題。休止時間は10分, 休止前試行数10試行, 20試行, 30試行, 40試行 (何れも1試行30秒) の条件である。休止後はいずれも5試行である。作業は連続集中作業, 被験者は, 女子高校生。PM式指導類型は, PM, P, Mそしてpmの4類型である。 結果は次の通りである。 休止前試行及び休止後試行におけるパフォーマンス増加量は, PM類型を最高に, P類型, pm類型そしてM類型の順位であった。 レミニッセンスは, 休止前試行数の何れの条件下においても, PM類型において有意に高いレミニッセンスが見出された。PM類型に次いで高いレミニッセンス値を示したのがP類型であり, 続いてM類型そして最低はpm類型であった。但し, P類型の場合には, 休止前20試行と休止前40試行, M類型の場合には休止前20試行の条件下で有意なレミニジセンスが見出され, 他の休止前試行の条件下及びpm類型下では何れも有意なレミニッセンスが得られなかった。 また, PM類型の場合, レミニッセンスは休止前試行数の関数として増大する傾向を示したのに対し, P, Mそしてpm類型下におけるレミニッセンスは横ばいか低下する傾向を示している。 以上の諸結果は, レミニッセンス現象を反応性制止説のみで解釈することの限界を示す。のである。すなわち, 上述のレミニッセンス効果は, 休止前試行におけるパフォーマンス水準の高・低を通じて間接的に規定されるというよりも, PM式指導条件効果がモーチベーションの差を通じて, 直接にレミニッセンスを規定する。のとして考察される。しかして, 被指導者のモーチベーションを最高度に高める指導類型は, P的機能に, M的機能が相乗された場合であり, かかる相乗作用は, 生活体に顕著な積極的, 内発的な動機づけを喚起する。のとして解釈される。