本研究は, 印象形成過程における情報統合モデルとしての加算 (summation) -平均 (averaging) モデルの比較検討を行なったものである。 被験者は, 市内の女子短期大学生68名で, 各Ssは, つぎの8 setの刺激情報を, 好意度の面から2つの20点評定尺度で判断した。 (1) HH (2) LL (3) M+M+ (4) M-M- (5) HHM+M+ (6) LLM-M- (7) HHHH (8) LLLL 得られた主な結果は, つぎのごとくである。 1) HH-HHM+M+, LL-LLM-M-の各評定値の差を検討した結果, それぞれの差は有意でなかった。すなわち, 極性化した特性に, 中位に極性化した特性を加えても, 反応は増加せず, 平均モデルと一致した結果である。 2) HH-HHHH, LL-LLLLの各評定値の差は, 後者についてのみ有意であった。すなわち, 刺激が増加すると, 反応も大となるset-size効果がみられる。 3) 平均モデルの公式〔4〕に基づいて, HHHH, LLLLの予測値を求めて, 実測値と比較したが, ともに有意なずれはみられない。 以上の結果は, いずれも平均モデルを支持するものであるが, 本研究では, 情報の質の差による統合化の差も伺がわれ, 今後, さらに綿密な分析が必要とされる。