スパイスを加えて調理, 加工する場合の魚臭抑制に関する知見を得るため, 魚臭の代表的成分と考えられているトリメチルアミン (TMA) にスパイスを加えた時の諸変化を官能検査法, ガスクロマトグラフ法によって研究した。 使用したスパイス類はキャラウェー, カシア, クローブ, ジンジャー, ローレル, メース, ナツメグ, オニオン, ペッパー, セージ, タイムの精油, および燻液である。 1) スパイスの種類によりTMA臭抑制効果が異なることが官能的に明らかにされた。抑制効果の高いもの-オニオン, ローレル, セージ, 抑制効果のあるもの-キャラウェー, カシア, クロープ, ジンジャー, タイム, 燻液抑制効果の少ないもの-メース, ナツメグ, ペッパー 2) スパイス添加後の時間経過により官能的にTMA臭が減少することから, TMAとスパイスが結合して, においの少ない物質に変わることを推定した。 3) TMAとスパイスのにおいの融和性は, ジンジャー, セージ, 燻液に高く, 抑臭効果と関係があるようであった。 4) TMAとスパイス混合臭に対する一般消費者の嗜好を調べ, 抑臭効果と関連づけようとした。 5) スパイスを添加したときのTMAの量的変化をガスクロマトグラフ法で調べ, 添加するスパイスによってTMA量の減少が異なること, 添加後の時間経過によってTMA量が減少することから, 官能試験によって得られたスパイスのTMA抑制効果の一部を裏付けした。