北海道産米とそれに対比するための他地域の産米各4品種について, 精白米の水分, 精白米粉のアミログラフィー, 精白米粉のX線回折, アルカリによる米粒の膨潤崩壊度, 精白米の炊飯時における諸特性, 米飯の水分, ジアスターゼによる消化性, 粘弾性, 米飯粒の硬さおよび水中における落下速度を測定し, それぞれ比較検討した。 その結果, 北海道産米は農林20号をのぞき, 次のように他地域の産米とその米質においてかなり異なる傾向を示し, それには地理的条件にもとずく北海道産米の登熟温度の低いことが関係していると推定した。 (1) 北海道産米はアミログラムにおける糊化温度がやや高く, ブレークダウンは明らかに小さい。 (2) アルカリによる米粒の膨潤崩壊度が大きく, アルカリに対する抵抗性が小さい。 (3) 炊飯時の特性において加熱吸水率がやや小さい。 (4) 米飯はジアスターゼにより消化されにくく, 弾性が小さい。 (5) 米飯粒の水中における落下速度がおおむね速く, ペネトロメーターによる針入度は小さい。