白ネズミを用い, カゼイン18%と10%給与の際の発育の相違をタンパク質の量的な違いによるものか, 質的な相違によるものか, すなわち特定アミノ酸の不足によるものかを追究した。 その結果は尾長および体重の発育が10%カゼイン群では劣り, ことに生後10-15週の時期に著しくその後は平均値では差があっても有意差はなくなってくる。 また, 10%カゼイン群は他群に比べ性周期の始まりも遅く, しかも不規則性が続いた。その他, 体成分の分析によると同じ週令では体重の多いものの方が水分量少なく, 脂肪多く, したがって10%群は水分量多く, 脂肪少ない傾向があったが, 各群同じ体重のものについて比較すると, このような差は見られなかった。 0種類の必須アミノ酸1つ1つについて, その不足が発育遅延の原因でないかを調べたが, アミノ酸の種類には関係なく, 18%カゼイン群との発育の差は見られなかった。 したがって18%カゼイン群と10%群との発育の差はタンパク質の量的な違いによるものであり, タンパク質量は白ネズミで生後10-15週の時期 (ヒトの思春期に相当するものと思われる) における発育を促進する。