起源の異なる菌株から分離されたコレステロール酸化酵素によるコレステロール定量法について検討した。コレステロールに構造が近似したシトステロール, スティグマステロールに対する3種の酵素反応は, おのおの約70%, 約60%であった。本酵素の基質特異性をみるため類似ステロール7種を用いて酵素反応を試みた。同時にLiebermann-Burchard反応とKiliani反応を行なったが, 両呈色反応では各ステロールの色調が一様でなかった。酵素法では色調は同様であったが, いずれもコレステロール以外の物質も呈色に影響をおよぼすことが明らかとなった。種々なステロールを含有する試料について, 酵素法, 比色法, ガスクロマトグラフ法で比較定量した。酵素法と比色法では数値に大差がなく, コレステロールのみを分画定量できる点においてガスクロマトグラフ法が最適であった。本研究の一部は第10回コレステリン研究会 (1977) にて報告した。