マイクロ熱流体デバイスでは,作動流体が液体のものを中心にデバイスの内部流動の研究が進められてきているが,気液二相流,気体流に関する研究はまだその初期段階である.気体流は,マイクロスケールでは高クヌッセン数流れに分類され,気体を連続体として扱うことができず,速度滑りや温度飛躍,熱遷移流など特異な物理現象が壁面近傍で顕在化することが知られている.これらは壁面と気体分子との相互作用によって生じると考えられており,マイクロスケールの熱流動場の理解において壁面上での物理量の計測が極めて重要である.著者らはこれまでにLangmuir-Blodgett(LB)法によって感圧塗料(PSP)を分子膜化したPSMF(Pressure-Sensitive Molecular Film)を作製し,マイクロスケールでの圧力分布計測を実施している.またPSMFに比べ簡便な手法として,マイクロ流路そのものをPSP化したPSCC(Pressue-Sensitive Channel Chip)も開発し,マイクロスケールでの圧力分布計測を可能としている.本稿ではこれらの作製法,計測例を示す.