単語の復唱,漢字音読,仮名音読および呼称の名発話モダリティに成績差を示す中等度失語症20例を対象として発話モダリティ間のdeblocking (Weigl) 成績から発話モダリティ相互の関連性を検討した。言語モダリティ別成績に基づいて復唱,漢字音読,仮名音読,呼称の名発話モダリティのうちで良好な発話モダリティでの反応をさせた後で不良な発話モダリティで反応させ,以前の成績に比べた正答の増加を促進効果とした。発話モダリティ成績の組合せから語想起障害,音韻処理障害,文字処理障害およびそれらの複合的障害例が認められた。発話モダリティ間の促進のうち仮名音読→漢字音読・復唱が良好であった。これには仮名から音韻に変換されることによって音形が実現することが関与すると思われた。呼称は仮名音読および漢字音読後に促進された。呼称促進にも音韻的情報が良好に作用するものと思われた。