重度失語症例の今日の日常生活面でのハンディキャップが身体障害者福祉法において妥当に評価されているか否かを検討した。対象は身体障害者福祉法において障害程度等級が言語機能障害としては最重度の3級と認定された失語症例18例,対照群は聴覚障害としては最重度の2級と認定された末梢性の聴覚障害例11例である。 その結果,聴覚障害例に比べより等級の軽い失語症例の方が短縮版CADLのコミュニケーションレベル,補助手段を使用した場合の短縮版CADLのコミュニケーションレベル,言語情報把握の正確性の3点いずれにおいても成績が有意に低かった。さらに現在の言語情報量は身体障害者福祉法が制定された1949年当時に比べ増大していることから全言語モダリティの障害を示す失語症例は聴覚障害例に比べハンディキャップを増大させている可能性があった。以上の実態が身体障害者福祉法に適切に反映されることが望ましいと考えた。