非構音時の口腔顔面動作障害を認める純粋語唖1例について非構音時の高次口腔顔面動作と構音の関係を明らかにするため,口腔顔面動作のみの訓練と構音の訓練を実験的に行い,相互におよぼす影響について検討した。訓練は2期に分け,第1期は口腔顔面動作のみの訓練第2期は絵カードの呼称をエレクトロパラトグラフを主として用いた訓練を,各期10回ずつ行った。 その結果,第1期では訓練を行った口腔顔面動作,および非訓練語の構音の正答率が有意に上昇した。第2期では訓練語および非訓練語の構音の正答率が有意に上昇した。同時に,訓練を行っていない口腔顔面動作の正答率が有意に上昇した。 以上の結果は口腔顔面動作と構音のいずれか一方を訓練すると訓練を行っていないもう一方のモダリティも改善することを示している。以上より本症例においては非構音時の高次口腔顔面動作と構音との関係が強いと考えられた。