脳梁離断患者の研究は意識が左半球に偏って構造化されていることを示唆している。左右半球の機能を比べると,左半球に優位な機能は言語,計算,意図的行為,道具使用,物品同定などであり,右半球に優位な機能は時間・空間性注意の制御・維持,知覚形態の範疇化,外空間に分布する対象と自己との関係の把握,感情の受容/表出の制御・調整,運動背景の維持,開眼制御,言語活動の全体的制御 (言語性諸パラメーターの同時把握) などである。 左半球機能の特徴は心理的に表象しやすい,つまり分節しやすいイメージ群の処理であり,右半球機能は分節しにくい,持続的連続的心理過程,あるいは関係性心理過程の処理である。この事実から,意識されやすいのは心理表象性過程であり,右半球機能はそのような経験を可能にするための構造的枠組みを作る働きを持つのではないかと考えられる。