左右の neglect dyslexia の症状を比較することを目的に,左 neglect dyslexia 7例と右 neglect dyslexia 3例に高頻度語を音読させるという同じ検査を施行した。左 neglect dyslexia を示す例では word length effect を示し,文字の省略が錯読より多く,左から右に書かれた単語も右から左にと書かれた単語でも空間的な左側を省略することが明らかとなった。また visual neglect の検査で全例が左側の無視の症状を示した。一方,右 neglect dyslexia を示す例では,単語の長さの影響はなく,文字の錯読が省略より多く,単語が左右どちらから書かれてあっても空間的な右側を読み誤り, visual neglect の検査では無視が認められなかった。今回の検討からは,左右の neglect dyslexia は対称的であるとはいえず,その発現のメカニズムに違いがあることが示唆された。