熟知度を考慮した3音節ひらかなの直接プライミング課題を作成し,プライマー提示後30分後と1週間後において,健常群 (C群) ,アルコール群 (A群) およびアルコールコルサコフ症候群 (K群) にこの課題を施行した。いずれの群においてもプライミング効果が認められたが,プライミング量はC群とA群では低熟知度語のほうが高熟知度語より大きかった。また,高熟知度語においては,C群,A群およびK群の間に,プライミング効果に有意な差は認められなかった。 これに対して,低熟知度語では,C群やA群と比較するとK群ではプライミング効果は有意に弱かった。どの群でも,高熟知度語では,1週間後ではプライミング量が減少したが,低熟知度語ではほとんど変化がみられなかった。さらに,プライミングに正答した語でも意味理解を伴っていないものがあり,プライミングの背景に語の意味以外の要因が関与していると考えられた。