脳梁膨大に腫瘍性病変を持つ 68歳,右利き女性について,タキストスコープにより半側視野の視覚機能を検討し,両耳分離聴能検査で聴覚機能について調べた。タキストスコープでは左視野の色名呼称障害・失読が,両耳分離聴能検査では左耳消去現象が認められた。左手の失行・失書・触覚性呼称障害,交叉性視覚性運動失調は明らかでなかった。脳梁病変による左視野の色名呼称障害の検討は少なく機序について不明な点が多いが,本症例の病変は脳梁膨大を通る交連線維にみられ,色名呼称に関する線維が脳梁膨大を通り,読字,聴覚性言語認知にかかわる線維の近傍に存することが示唆された。