発語がヒトの手指筋の運動電位に及ぼす影響について健常成人を被験者として検討した。磁気刺激により皮質運動野を刺激し手指筋から筋電図を記録した。音読・黙読・自発言語・発声を行い,安静時の記録と比較することにより言語による影響を観察した。音読は優位半球を刺激したときにのみ筋電図の振幅を増強させ,明らかな左右差を認めた。この現象は大脳皮質内で起こっていると考えられた。言語が及ぼす大脳皮質の興奮性に左右差を示した初めての報告であり,本手法は従来の方法に加え,ヒトの大脳皮質優位半球を決定する安全かつ簡便な新しい方法になるものと考えられる。