慢性期失語症者 71名とその家族を対象として生活状況や意識に関する調査を実施した。主体的な行為を含む「活動性」を指標として活動性の高い高活動群と活動性の低い低活動群とに二分して検討した。年齢は低活動群で有意に高い,有職者は低活動群に比べ高活動群で有意に多い傾向を示した。失語型の構成は両群で異なり,言語障害の重症度については高活動群に比べ低活動群で中等度および重度の比率が高い傾向を認めた。日常的な行動について家庭内の行動であっても低活動群に比べ高活動群でよく行う比率が高い,家族とともに過ごす時間は高活動群では低活動群に比し短い,家族の「つきあい」の頻度は,高活動群で低活動群に比べ高い,性格傾向の評価結果では,高活動群で循環気質の比率が高いなど,高活動群,低活動群の間で差異が認められた。このような差異に影響を及ぼしている要因について考察した。