発達性音韻性読み書き障害は,欧米では,音韻認識の発達の遅れをその障害機序として,10人に 1人の割合で生じることが報告されている。 低年齢期から中学2年,あるいは青年期まで指導した発達性音韻性読み書き障害4例について,平仮名,漢字,アルファベットの読み書きの学習経過と特徴,読み書きの誤りの分析,有効であった指導法,検査結果などを検討した。その結果4症例の読み書き障害の障害機序として,orthography を phonology に変換する coding 機能の障害と音韻発達の遅れが示唆された。平仮名,漢字では coding 機能の障害が,アルファベットでは音韻認識の問題が前景となることが示唆された。orthography と phonology 間の変換については,意味情報を媒介に変換を行わせ,coding 機能を補強する指導法が有効であった。