東京都内の地域保健・福祉施設の利用者の実態を知り,今後の地域における STサービスの役割を考えることを目的としてアンケート調査を行った。脳血管障害により発症した364名分の利用者データを分析したところ以下の知見を得た。 (1) 地域福祉・保健施設の STサービス利用者のうち,98%が介護保険制度対象者であり,約7割が失語症者であった。 (2) 発症から地域機関がかかわるまでの期間の中央値は13.2ヵ月。1年以内に地域機関が関与した人の割合は47%で,そのうち3割強が言語訓練を受けていなかった。 (3) 発症から地域機関がかかわるまでのプロセスの中に,病院入院→病院での言語訓練→地域機関での言語訓練というステップを認めた。 これらの結果を元に,介護保険制度実施下での地域での STサービスの必要性とサービスを提供するにあたっての課題について討論を加えた。