構成行為障害におよぼす局在性およびび慢性脳病変の影響を検討した. 対象は右半球損傷47例, 左半球損傷54例, び慢性脳損傷43例の計144例である. 構成行為は立方体透視図模写をもって判定した. 脳病変はCTの面積計による測定によった. 結果は以下の如くである. a) 局在性病変のみの群では, 1) 右半球とくに後部損傷では左半側視空間無視と関連する描画障害が高度である. 左半球損傷では構成障害は軽度であるが, 右下方での誤りが多い. 2) 立方体模写の線分数には左右半球損傷例内に明らかな差異は認めない. b) び慢性病変のみの群でも構成障害は高度となる. 1) とくに頭頂部萎縮群では左側無視傾向と, 保続と関連すると思われる線分増加がみられる. 2) 脳室拡大群では無為によると思われる行為の中断と注意力散浸か特徴的である. c) び慢性脳病変の構成行為障害におよぼす影響を強調したい.