脳梗塞による失語症者 44 例を対象として,ポジトロン CT により定量的に脳循環代謝量を測定し, 失語症のタイプや重症度との関連性について検討した.失語症のタイプでみると,運動失語群では側頭葉後部に比し前頭葉後部での, 感覚失語群では前頭葉後部に比し側頭葉後部での脳循環代謝の障害が著明であった.運動失語群では感覚失語群に比し Broca 領を反映する前頭葉後部で脳血流代謝量が有意に低下していた.失語症の重症度を軽—中等症群と重症群に分け検討すると,失語症各群はコントロール群に比し, 左半球の平均,ならびに言語領での局所脳血流代謝量の有意の低下を示した.また失語症の重症群は軽—中等症群に対し,全く同様の傾向を示した.一方, 右半球では失語症両群間で半球平均や局所の脳血流代謝量に有意の差は認められず, 失語症両群でコントロール群に比し言語領の対称部位での局所脳血流量に有意の低下を認めるのみであった.