失語症者が動詞を表出するときの手がかりとなる副詞と擬音擬態語の動詞発話の促進効果を7名の失語症者について検討した.動詞発話が得られない場合に動作絵に続いて副詞あるいは擬音擬態語を聴覚的に呈示した場合の動詞発話の促進効果と, self-genereted cue として副詞および擬音擬態語を復唱後に自発的に発語した場合の促進効果が比較された.その結果,副詞や擬音擬態語が聴覚的に呈示された場合より復唱を繰り返した後に自発的に発話する方がより該当する動詞が引き出され易い症例が認められた.また, 動詞発話の促進効果が副詞よりも擬音擬態語に強いことが知られ, 両者の間に動詞発話にいたる過程で異なる処理が行なわれている可能性が考えられた.副詞や擬音擬態語が発話のための手がかりとして有効に機能するためにはその適用の仕方が異なることが示唆された.