在日外国人の健康問題, 保健医療課題を明らかにすることを目的して, 外国人人口統計・人口動態統計を分析した。以下のことが明らかとなった。 ・1980年代後半から在日外国人人口, 国際婚姻が急増し, 日本における多民族化が進んでいた。 ・日系ブラジル人人口は, 20歳代から30歳代の生産年齢人口に集中し, 日本で出生した15歳未満の子どもの人口が年々増加, 定住化傾向がみられた。また, 全死亡数に占める「傷病及び死亡の外因」が高くなっていた。 ・在日韓国・朝鮮人は高齢化, 少子化が進み, 65歳以上の総外国人登録者人口の8割を占めていた。 ・「韓国・朝鮮」の三大死因は悪性新生物(がん), 心疾患, 脳血管疾患死因であり, 日本人の死亡動向と類似していた。 ・在日外国人の健康課題は大きく3つ分類される。在日韓国・朝鮮人については老人保健, 近年, 移住した外国人については母子保健と労働衛生, そしてすべての外国人に対しては, 移住, 異文化, マイノリティであることに起因した精神保健の問題である。