【目的】コミュニティを重視して栄養課題の構造を検討すること、及び研修に重要なプログラムを検討することである。 【方法】ネパール王国保健省栄養セクションチーフの研修受入れ依頼があり、要請背景、研修のねらい、研修後に期待される成果等についてJICAと確認後、受入れた。研修は、研修員P氏(以下P氏とする)自身による課題分析の結果をふまえてテーマを決定した後、国の政策とコミュニティの活動をつなぐ講義、討議、実習のプログラムとした。教材として日本国内・外の栄養プログラムの実践事例やそこで実際に活用されたものを用いた。アクションプラン作成の為にコミュニティの資源と関係者の分析を行った。評価は、P氏による課題分析、コミュニティ分析、アクションプラン、及び、スタッフによるP氏の発言記録を分析した。 【結果】1)P氏による評価:(1)保健省の課題を整理できたがコミュニティの課題はできなかった。スタッフの支援により課題を再整理し、テーマを“コミュニティで入手可能な資源の重要性について家族が気づくための栄養プログラムを学ぶ”とした。(2)コミュニティ分析の結果、栄養改善のキーとなる場所にTea shopが挙げられた。(3)アクションプランに研修内容が多く活用された。2)スタッフによるP氏の発言分析:(1)態度の変化として5期のプロセス、第1期:栄養問題が改善できないのは現場の職員や組織の課題なのか。第2期:住民は何を望んでいるか。第3期:組織におけるポストが上位の人は何をすべきか。第4期:自分の業務に何が必要か。第5期:帰国後に一番に着手すべきことは何かであった。(2)スタッフの支援として、P氏の課題の明確化、コミュニティの視点で課題を整理する枠組みの提案、国の政策とコミュニティの活動をつなぐ方法の提示、国内・外行政資料についてコミュニティの視点からの再評価と資料の作成、効果的な教材開発のプロセスに関する情報の提供、コミュニティ分析が行われた。