目的 Provider initiated testing and counseling(PITC)は、近年多くの国において導入されてきている。また、妊婦の HIV検査に関しても「自発的な検査とカウンセリング( VCT)」から、拒否しない限りは HIV検査がなされる PITCへと変化している。 2006年 5月にカンボジアの首都にある妊産婦健診外来においても HIV母子感染予防( Prevention of Mother-to-Child Transmission:PMTCT)の HIV検査に対して PITCが導入され、 1年が経過した。そこで、 PITC導入前後の PMTCT指標の変化を分析し PITC導入の課題を検討した。 方法 同妊産婦健診外来において、 PITC導入前 1年間( 2005年 5月から 2006年 4月まで)と PITC導入後 1年間( 2006年 5月から 2007年 4月まで)のそれぞれの PMTCTサービス利用状況の指標を収集し、比較分析した。 結果 HIV検査受検率は PITC導入により 35.9%(3,033/8,459)から 95.3%(7,780/8,162)と大幅に増加したが(p 結論 PITCは HIV検査受検率の増加には有効である。しかしながら、検査後カウンセリングの参加率が著明に低下しており、カウンセラーの充足度や、 HIV検査への真の受け入れの深さ、さらに、特に単独で HIV検査を受検した妊婦に対するパートナーからの否定的な反応が危惧された。今後、 HIV検査受検後に検査後カウンセリングに参加しなかった妊婦への調査などにより、 PITCアプローチにおいて検査後カウンセリング参加率を安全に向上させる戦略を見いだす必要性があり、カウンセリングやパートナーの巻き込みの意義を引き続き重視すべきと示唆された。