緒言 2006年世界子供白書によるとサハラ以南アフリカ地域における5歳未満児の栄養不良率は28%であり、子どもの健康や生存において重大な問題となっている。 現在までに多くの途上国で子どもの栄養不良に関する研究が行われてきている。しかし、中央アフリカ共和国においては、実際に援助活動を行うための指標となる報告はない。そのため、中央アフリカ共和国における子どもの栄養不良の状況を調査し、世帯/家族レベルの背後の原因に焦点をあてて関連する因子を明らかにした。 方法 2006年8月26日~9月16日、中央アフリカ共和国バンギ市のブエラブ保健センターに健診または診察に来た月齢6~24か月の子どもの身体計測と母親への構造化面接調査を行った。子どもの栄養状態の判定にはWHOのChild growth standardsから3指標を使用し、消耗症、発育阻害、低体重の判定を行った。子どもの栄養不良と関連する因子については、「属性」「食糧の入手」「母子に対するケア」「水と衛生・保健サービス」の4項目について関連すると思われる因子を設定し、関連性について検討した。 結果 126組の母子の協力が得られ、そのうち有効データは109組であった。子どもの栄養不良の割合は、消耗症20.2%、発育阻害61.5%、低体重42.2%であった。 消耗症と世帯/家族レベルに関連する因子は、不完全な予防接種状況の子ども(p=0.043)、パートナーがいない母親(p=0.046)であった。発育阻害と世帯/家族レベルに関連する因子は、月齢の高い子ども(p 結論 子どもの栄養不良と世帯/家族レベルに関連する8因子を認め、急性の栄養不良の状態である消耗症では子どもの予防接種状況という病気と関連する因子、慢性の栄養不良の状態である発育阻害では母乳哺育状況という食事に関連する因子を認めたのが特徴的であった。