この論文では,バフチンの対話概念の適用可能性を議論した。まず,バフチンの対話性の概念を概説した。次に,学習発達に関する研究領域の動向を概観して,学習を社会過程と見なす方向に動いていることを確認した。この領域における理論的問題の二つの焦点が,状況の対話組織化と,言語実践のレパートリーのアイディアにあることを特定した。そして,この二つの理論的問題を考える上で,対話性の概念が有効であることを,子どもの相互行為データを用いて例証した。