本研究では,親密な関係における特別観が関係の相手に対する行動にどのような影響を及ぼすのかを検討した。大学生474名を対象とする調査研究を行った。親密な関係での特別観は関係内での協調的な志向性を高め,他方非協調的な志向性を抑制することが示された。さらに,特別観が協調的・非協調的志向性に及ぼす影響は,相互依存諸変数(代替肢の質,満足度,投資量,コミットメント)が志向性に及ぼす影響と独立したものであることも示された。これらの結果より,親密な関係に対して強い特別観をもつ者は非協調的な行動がとれないことが示唆された。親密な関係における特別観がその当事者に不適応を生じさせる可能性について議論した。