本研究の目的は,小学校5・6年生を対象に,授業の班活動における仲間の効果と個人の集団透過性の効果を明らかにすることであった。個人の集団透過性とは,仲間集団以外の学級成員と相互作用することに対する態度を示す概念である。分散分析の結果,仲間が同じ班にいる場合はいない場合よりも,学習活動は明るく,優しい雰囲気のもとで行われ,さらに班成員から受けるサポートは多いことが示された。女子では,同じ班に仲間がいる場合はいない場合よりも,学習活動は規律ある雰囲気のもとで行われ,授業への集中や活動への意欲的な態度は高いことが示されたのに対して,男子ではそのような結果はみられなかった。個人の集団透過性が高い児童の方が低い児童よりも,明るく,優しい雰囲気のもとで学習活動を行っており,班成員から受けるサポートは多いことが示された。さらに,個人の集団透過性が高い児童の方が低い児童よりも,規律ある雰囲気のもとで学習活動を行っており,授業への集中や授業への意欲的な態度も高いことが示された。