本論文では,単一の親友や仲間集団の反社会的傾向が個人の同傾向に与える影響を,相互影響モデルに基づいて検討した。その際,社会的な情報を処理する過程に沿って,相互的な影響を検討した。高校生を対象とした研究1において,主観的相互影響モデルを検討した結果,仲間集団からの影響が単一の親友からの影響よりも強いことが示された。中学生を対象とした研究2において,客観的相互影響モデルを検討した結果,親友や仲間集団との反社会的傾向は,行動傾向のレベルではなく主に認知レベルにおいて相互に影響していることが示された。親友と仲間集団とで影響の方向が異なることから,単一の親友との相互影響は,個人が逸脱的な他者を親友として意図的に選択することを意味し,仲間集団との相互影響は,個人が仲間集団から逸脱性のトレーニングを受けていることを意味する可能性が示唆された。