本研究は関係へのコミットメントと関係相手からの受容予期が社会的拒絶への対処行動に及ぼす影響を検討した。219名の大学生が質問紙調査に参加した。参加者は,親友または知人との関係におけるコミットメントと相手からの受容予期の程度,そして,その相手からの拒絶場面における感情状態と行動傾向を評定した。その結果,知人よりも親友のほうが,関係相手からの受容予期は強く,関係へのコミットメントが強いことが明らかとなった。また,知人よりも親友のほうが,拒絶に対する関係志向的行動が促進され,関係破壊的行動は抑制されることが示された。媒介分析とパス解析の結果,コミットメントと受容予期はそれぞれ直接,拒絶への関係志向的行動を促進し,関係破壊的行動を抑制すること,そして,受容予期はコミットメントを強めることで間接的にも拒絶への対処行動に影響することが明らかとなった。これらの結果は,拒絶への対処行動を規定する要因は,相互依存理論とリスク制御システム理論という観点から統合的に理解する必要があることを示唆している。