本研究は斉一者, 同調者, 非同調者, 反同調者に対する反応を知覚レベルで把えようとする試みである. 31名の大学生の被験者は, 斉一的, 同調的, 非同調的役割をするサクラのパートナーのいずれか2人と共に幾何図形の面積判断を行うという課題が与えられた. さらに, 面積判断の前後に距離知覚装置上で, パートナーの写真を知覚対象として距離定位させることが求められた. 得られた結果は次のとおりである. (1) 被験者は, 面積判断後, 一致者の写真も不一致者の写真も, 装置上における定位位置を負の感情方向 (自己にとって, 不快な対象を定位させる方向) に変化させたが, その変化量に差はなかった. (2) 被験者は, 面積判断後, 斉一者の写真を正の感情方向 (自己にとって快な対象を定位させる方向) に変化させたが, 非同調者, 反同調者の写真は負の感情方向に変化させた. (3) パートナーが2人共同調者である場合, 被験者は面積判断後, 彼らの写真を負の感情方向へ変化させたが, 1人が同調者1人が斉一者である場合の同調者の写真は正の感情方向へ変化させた. このような結果は, 斉一者に対し被験者は正の感情負荷を行ない, 非同調者, 反同調者に対しては負の感情負荷を行なったためと解釈される.