本実験の目的は, 困難度の異なる2種類の知覚-運動学習におけるパフォーマンスとレミニッセンスに及ぼすPM式指導条件効果を吟味することであった. 課題の難易度は, 被験者の学習程度を変化させることで決定され, 学習程度の高い条件を継続学習課題, 学習程度の低い条件を転換学習課題として分類した. これらのおのおのの課題遂行時においてPM型指導型とpm型指導類型が導入された. 学習方式は, 1試行1分で, 指導条件導入前20試行, 条件導入7分間の休止時間をはさみ, 休止前16試行, 休止後4試行行なわれた集中学習であった. 結果は次の通りであった. (1) 休止前試行, 休止後試行のパフォーマンスに関して, 指導条件と課題条件間に有意な交互作用効果が検出された. すなわち, 休止前試行では, 継続学習条件下ではPM型がpm型よりすぐれる傾向を示し, 一方, 転換学習条件下でpm型がPM型に優ることが明らかになった. 休止後試行では, 継続学習条件下ではPM型がpm型に有意にすぐれたパフオーマンスを示した. しかし, 転換学習条件下ではPM型とpm型の間に有意な差は検出できなかった. (2) レミニッセンスに関しては, PM型は両課題条件下で有意なレミニッセンスを示したがpm型は, 転換学習条件下においてのみ見い出された. パフォーマンスとレミニッセンスに関する総合的考察から, PM型指導類型は被験者にたいして, 高度の内発的動機づけを喚起させることが検証されたことを示した. 本実験の結果は, PM型指導行動によって喚起された被験者の高度の動機づけ水準は, 易しい課題にとっては促進的に, 困難な課題にとっては抑制的に作用するものと解釈された.