本研究は, リスキー・シフト現象を解明することを目的とした. すなわち, 集団内の意思決定者の数を変えることによって, その意思決定看が自分も含めて他の集団成員に対して感じる責任の程度を操作して, 集団討議状況に存在すると仮定されている責任の拡散のメカニズムを探索しようとしたものである. 課題は簡単な確率選択をする賭けである. 被験者は女子商業高校1年生 (15~16才) の130名, である. 本研究結果を要約すれば, つぎのとおりである. 1. 集団内の意思決定者数が多くなるにしたがって, 換言すれば, 意思決定者が自分も含めて他の集団成員に対して感じる責任が小さくなるにしたがって, その決定内容はよりリスキーとなった. 2. 集団内の意思決定者が唯一人の場合, その意思決定者は集団状況以前の個人決定よりも, コーシヤスな決定を行なった. 以上の結果は, 集団討議状況には責任の拡散のメカニズムが存在し, リスキー・シフト現象はそのメカニズムによっておこることを示唆している.