本研究の目的は, コンティンジェシイモデルに基づき, 状況 (課業構造) を変容させることによってリーダー特性に適合した状況づくりを行ない, 状況工学の可能性を検討するものである. 被験者は高校男子, 1集団3人からなる20集団である. リーダー特性は, 高LPCリーダーと低LPCリーダーとに分類され, 各10人である. 状況は, 良いリーダー・成員関係ならびに弱い地位勢力に設定され, 構造的課業 (オクタントII) と非構造的課業 (オクタントIV) の2つの課業事態が扱われた. 主たる結果はつぎのとおりである. (1) リーダーのLPC得点と集団業積の相関は, 構造的課業 (オクタントII) では, 負の値を示し, 非構造的課業 (オクタントIV) では, 逆に正の値あるいは0の値を示し, モデルとほぼ一致した方向を示した. (2) T得点化した集団業績では, リーダーのLPC特性と課業構造との間に交互作用がみられ (構造的→非構造的課業系列のみ), 構造的課業 (オクタントII) では, 低LPCリーダーに導かれた集団が高業績をあげ, 非構造的課業 (オクタントIV) では逆に高LPCリーダーに導かれた集団が高業績をあげた. この結果は仮説を支持した. (3) 集団維持行動では, リーダーのLPC特性と課業構造との間に交互作用がみられ (構造的→非構造的課業系列のみ), 高LPCリーダーは, 非構造的課業ではM的行動を増大させ, 低LPCリーダーは逆に減少させている.