本研究の目的は, 阪神・淡路大震災により被災し, 遠隔地仮設住宅で生活する被災者の地震から1年後の身体的・精神的健康状態を明らかにすることである。地震発生から約1年後の1996年1月20日から31日までの期間に, ある仮設住宅の全入居者415名 (男性191名, 女性224名) を調査対象者として質問紙調査を行った。その結果, 101名の回答者からの回答を得た。 身体的健康については, 男女共に, 肩や腰の痛みの症状を多く訴えていた。男性は女性よりも, 飲酒の量が増えていた。一方, 女性は男性よりも, 口内炎や便秘などの具体的な症状を多く訴えていた。精神的健康 (GHQ20項目版, 福西, 1990) については, 男性の約5割, 女性の約8割がハイリスク群に分類された。 一般に, 男性よりも女性の身体的, および精神的健康状態の方がいっそう悪いことが明らかとなった。