本研究では, 未入職者における将来の職業に関連した動機に注目し, 大学生を対象とした測定を試みた。ここでは就業動機を, 未入職者が未来の仕事状況に関連してもっている動機, または, 将来携わる職業的場面を想定した動機と定義した。文化系の学部に所属する大学生257名 (男子135, 女子121, 不明1) より得られた回答を因子分析したところ4因子が見出された。「探索志向」は, 将来携わる仕事に関する情報を収集するなど職業に対する積極的姿勢, 「挑戦志向」は, 困難な作業に挑戦して仕事によって自己成長しようとする傾向, 「対人志向」は, 仕事を通じた人との接触を志向する傾向, 「上位志向」は, 社会的地位や名声を得ようとする傾向であると解釈出来た。α係数と項目-尺度間相関を検討した結果, 職業的動機づけ尺度は十分な信頼性を有することが確認出来た。つづいて, 性格特性, 職業価値観, 成功回避動機との関連を検討したところ, 就業動機の各側面の特徴がより明確化された。