共同研究を主体とする産学連携が活発化しているが,中小企業と大学との産学連携は十分に進んでいるとは言えない状況にある.そこで,本論文では,共同研究件数の推移とその内容から共同研究の実状を分析し,中小企業と大学との共同研究を促進するための課題とその解決の方向性について検討した.その結果,中小企業と大学との共同研究は,これまで,企業のニーズやアイデアに基づく製品の開発ステージで実施される「ニーズ実現型共同研究」が主体であり,この共同研究を促進することが第一ステップであることが明らかとなった.そのためには,開発ステージで共同研究が実施できるよう,企業側と大学側の人材育成が必要であり,MOT教育が有効と考えられる,さらに,官(行政)が中心となった新事業化促進の支援を行う仕組み作りと支援を行う人材の育成も必要であると考えられる.