本研究は,大学と学金連携の実態を把握するため実施したアンケート調査の結果に基づき,その現状を把握するとともに課題を整理したものである.その結果,学金連携は,リエゾン機関を有する国立大学法人及び地域金融機関の半数以上の機関で行われていることが確認された.その典型的な活動として「セミナーの開催」,「ニーズ・シーズのマッチング」,「技術相談」が行われているが,一方で「連携を活かす人材が不足している」,「体制が整えられていない」などが課題となっている.また,全体的傾向として,明確な目的のもとに連携が始まったというよりも,金融庁の推進する施策の影響を受けてにわかに広まったことが伺える.施策の影響により急激に拡大したという背景から,必ずしも磐石とはいえない連携基盤の現状と,今後の発展に向けた新たな期待と課題が浮き彫りとなった.