SO2吸入の肺機能に対する影響を明らかにする目的をもって,11頭の麻酔犬に50∼350ppmのSO2を40∼60分吸入せしめ,食道内圧法による換気力学諸値及び動脈血O2飽和度の変化を追究した。 (1)有効肺圧縮率は吸入によりほとんど不変であった。 (2)粘性抵抗及び粘性仕事の増加は顕著であった。しかし吸入終了後30分では,吸入前値に回復傾向を示すものと然らざるものとが存在した。なお全力学的仕事は,粘性仕事分だけ増加した。 (3)動脈血O2飽和度は吸入によりほとんど不変であった。 即ちSO2は,呼吸粘性抵抗を上昇し,それにより呼吸粘性仕事を増加せしめる作用を持つ。この呼吸仕事の増加が長期持続する場合いかなる負担を人にあたえるかは不明であるが,少なくとも心肺疾患者には,有意の負担を与える可能性があると思われる。