冠動脈疾患危険因子(CRF)の高い肥満者を判定するために,体脂肪分布指数とCRFの関連について分析を行った.事務系の仕事に従事する成人男性938人を対象とし,周囲長,皮脂厚を測定して体脂肪分布を表すいくつかの指数を作成した.その結果,以下の各点が明かとなった. (1)肥満指数の内, BMI (Body mass index)は収縮期血圧と最も強い正の相関を示し,皮脂厚は総コレステロール(TC), LDL-コレステロールと強い正の相関を示した. (2)体脂肪分布指数では,腹囲/身長比(WSR)がCRFと最も高い相関があり,中性脂肪(TG)と正の, HDL-コレステロールと負の強い相関を示した. (3) WSRは血圧, TC, TG異常者の判別において,敏感度,特異度ともに最も優れていた. (4) WSR高値群(0.49以上)と低値群(0.49未満)間ですべてのCRFに有意差が認められ,高値群の異常者率は低値群の約2倍であった.上述の結果から,冠動脈疾患予防のための肥満判定のために, WSRが有用であることが示された.