石油臭の発生した煮豆から悪臭物質本体としてスチレンを検出し, 本物質が汚染酵母 C. famata の増殖に伴ない煮豆に添加されたケイ皮酸から分解・生成されたことを明らかにした. また, 苦情事例として酵母の増殖が石油臭発生の原因となった初めての例であることから, C. famata のスチレン生成条件を実験的に検討した結果, スチレンはケイ皮酸添加濃度0.03% (w/v) 以下, 培養温度5~30℃, 食塩濃度6% (w/v) 以下の条件で生成されることが明らかとなった. また, 各種真菌のスチレン生成能についても検討した結果, スチレンを生成した菌種は供試47種65株中の2種4株にすぎなかったことから, この種の事故の発生はまれであろうと堆察した.