学習進化をする集団の動的な環境下での特性を研究した。佐々木,所は,はじめて,ダーウィン型とラマルク型集団の差に注目し,動的環境下ではダーウィン型集団が安定した適応をすることを示した。我々はそこで示された現象のメカニズムを探るため,学習にニューラルネットワークを用いた,「連続値関数モデル」と彼らと同様の「餌と毒モデル」,および単純な山登り学習をする「単純山登り学習モデル」で実験をした。そして,適応空間内で,個々のagentが学習した軌跡を描くことにより,これらのモデルで,ダーウィン型とラマルク型集団の差が生じるメカニズムを簡潔に説明した。キーは,適応空間の次元が大きいことである。また,これらの適応の特徴を以下のように示した。·我々が実験をした3つのモデルで,次に述べるような条件を必要条件として,ダーウィン型集団はラマルク型集団に比べて,大きな環境変化に適応することができる。1.環境変化のタイムスケールが,学習のタイムスケールと進化のタイムスケールの中間にある。2.変化する複数の環境の適応点が,適応空間内の一定の大きさの領域内に留まっている。