コンピュータを服のように体に装着して,日常生活のあらゆる場面で人々の活動を支援するウェアラブルコンピュータの実用化が進んでいる.高性能で安価な小型コンピュータと無線ネットワーク,軽量な装着型ディスプレイ,高性能バッテリーと省電力ハードウェアにより,従来のデスクトップコンピュータに匹敵する機能を持つコンピュータ装置を身につけて携帯することが可能になった.その結果,ウェアラブルコンピュータは一部で商品化されて,メンテナンスや製造などの限られた分野で実用化されている.しかしながら,アプリケーションの多くは,デスクトップコンピュータで使われているシステムをそのまま外で使う形態が多く,誰でもウェアラブルコンピュータを使いたくなるような魅力的なアプリケーション(キラーアプリケーション)に欠けている.筆者らは,ウェアラブルコンピュータのキラーアプリケーションの一つは,人々のコミュニケーションを支援するメディアへの応用であると考えた.そこで,仮想の手描きメモによるコミュニケーションをウェアラブルコンピュータにより実現する「空気ペン」システムを試作し,位置検出等の性能評価と,試用したユーザからのフィードバックによる評価を行った.