クリーニ代数は正規言語を公理的に取り扱うための代数的枠組みである.正規表現が計算機科学のいたるところに現れることを考えると,クリーニ代数が計算機科学に現れる構造の自然なクラスの性質を公理的にとらえ得るであろうことが容易に推測されるであろう.クリーニ代数の定義は,等式とホーン節で与えられるため,ある現象をクリーニ代数においてモデル化すると,その現象が簡単な式変形によって検証できるという特徴をもつ.本稿ではクリーニ代数の基本的な性質とそのプログラム理論への応用例について紹介する.