ロボット開発キットであるLego MindStormsは,8ビットCPUを搭載したRCXと呼ばれるブロックにさまざまなセンサやモータを接続することによって,自作ロボットの制御を可能にしている.本論文では,RCX上で動作し,ロボットを制御するために設計されたLisp処理系であるXSを紹介する.XSの評価器はRCX上で自律的に動作し,独自の実行時スタックやごみ集めの対象となるヒープを備えている.フロントエンドPCと交信することによって,バックトレース,関数トレース,端末機割込みなどの機能を提供し,対話的なプログラミング環境を実現している.処理系がサポートするプログラミング言語はSchemeをベースにし,モータやセンサなどとのインターフェイスを備えている.さらに,イベント待ちや非同期イベント割込みといったロボット制御に不可欠な機能も備えている.