携帯電話端末にダウンロードして利用できるLisp処理系を紹介する.本処理系は,実時間ごみ集めの研究実験の副産物として開発された.最近の携帯端末には,アプリケーションをダウンロードして利用できるように,KVMをベースにした極めて小型のJava VMを備えているものが少なくない.我々はこれらの携帯端末において高性能の実時間ごみ集めを実現するために,既開発および新規開発の実装技術を試験実装してきた.性能評価を行うために,メモリ管理能力のベンチマークプログラムが豊富にそろっているLispを採用することにした.具体的には,Javaで記述した小型のLisp処理系であるJAKLDをKVM用に改造し,その上でLispベンチマークプログラムを実行し性能評価を行った.JAKLDは,Javaアプリケーションに組み込んで利用することを目的として開発したLisp処理系である.それ自体,小さく設計された処理系ではあるが,KVMの機能制約は厳しく,さらに小型化する必要があった.このように改造した超小型の処理系に,携帯端末固有のAPIを駆使することによって,実際に携帯端末で動作させることが可能となった.