組合せオークションをアプリケーションシステムに適用する場合に,勝者決定問題に対して解の最適性を厳密に保証することが計算資源的に難しい場合がある.我々は,このような場合には,現実的な計算時間で質の高い近似解を求めたうえで,その解に対してある一定の好ましい性質を持たせられるようにするアプローチもありえると考え,組合せオークションの勝者決定に関する新しい近似アルゴリズムと,それが持つべき好ましい性質についての解析および考察を行ってきた.しかしながら,これまでの我々のアプローチ,および関連研究のアプローチでは,いずれも,個々のオークションを独立した問題としてとらえ,オークション同士の関係を利用した勝者決定の近似の効率化の可能性については検討してこなかった.ユビキタス環境下での資源配分問題などでは,短時間で状況が変化し,それに伴って資源の再割り当ての必要が頻繁に生じるような状況があると考えられる.本論文では,組合せオークションが何度も繰り返され,そのオークション間の入札の差分が小さい場合に,直前のオークションにおける近似勝者を効果的に再利用する手法について述べる.