ソフトウェア開発工数予測モデルを構築するにあたり,過去プロジェクトデータに含まれる欠損値の存在が問題となっている.従来,類似性に基づく欠損値補完法により精度の高いモデルが構築できると報告されているが,プロジェクト件数が少ない場合においても有効な手法であるかは明らかでない.本論文では,ISBSGデータセットから抽出したプロジェクト件数の異なる複数のデータセットを用いて,平均値挿入法,類似性に基づく補完法,無欠損データ作成法,ペアワイズ除去法の効果を実験的に評価した.実験の結果,プロジェクト件数が少ない場合(220件以下)に,無欠損データ作成法が類似性に基づく補完法よりも高い精度の工数予測モデルを構築できることがわかった.